最近の活動


すでにソーシャルメディアにて告知済ですが、実は2024年からForbes Japanにて、公式コラムニストとして連載記事を執筆しています。

第一回:「現代のイノベーション思考に不可欠な『スーパーサイクル』という概念融合

第二回:「DeSciによる「科学の民主化」がもたらすもの

執筆ペースが遅くて申し訳ないのですが、最新回の原稿を執筆準備中です。

そして、本ブログの更新が停滞している間に、創業した会社が台湾のメディアグループと経営統合を果たし、TNL Mediageneとして、2024年に米Nasdaq市場に上場しました。ひとえにご支援いただきました皆様のおかげであり、心より感謝申し上げます。

また、2024年度には、従前よりその未来構想に携わらせていただいた官民共同運営のPFI刑務所島根あさひ社会復帰促進センター」の次期事業者選定委員を務めました。

同年は新規メディアの統括や新規事業を行いながら、通年同様にベルリンへの視察プログラムとTOAへの参加、その説明会・報告会等を関東と関西にて開催してまいりました。

今後発信したいのは、自身が模索中のAI支援による知的生産

自分がそのキャリアをスタートさせたときには、まだインターネットもありませんでした。最初の仕事は、街頭型端末のCAPTAINシステムに載せるコンテンツ開発と営業・運用でした。この運用はシステムの保守等ではなく、その筐体の物理的な管理でした。その後に、最初のパーソナルコンピュータであるMacintoshに出会い、衝撃を受けるわけですが、そんなMacを活用したDTPによるパーソナル・メディアの実践を書籍や雑誌連載等で説いてきました。加えて、パソコン通信を楽しみ、Compuserve経由で世界に繋がることを経験し、その後の「Digital Revolution」への耐性というか、免疫は早期にできていたようです。

90年代には、インターネットの勃興から普及までを目撃し、WIREDを日本で創刊し、何度もシリコンバレーに足を運びました。そこでは、Webが社会やビジネスを変える様を目撃してきました。2000年初頭には自身でもブログサービスのローンチに関与しながら、ブログメディアの可能性を見出し、米Gawker Mediaと提携をしました。

さらに、その後20年の間に、3Dプリンティング、web3、VR・ARなど数多くのテクノロジー革新を目撃し、推進するコミュニティの近くにいましたが、昨今の生成AIの進化については、眼を見張るばかりです。それは、かつてない速度で私たちの社会のOSになろうとしています。

現在、私自身の主要業務での活用を目指しつつ、一方でAIは既存ビジネスのディスラプター(破壊者)でもあるため、それにどう対面するかなどを社内外のプロフェッショナルたちと検討しています。

個人としてはこんなに面白い局面は、パーソナルコンピュータと出会ったとき以来だと感じています。そのため、次回から、自分の備忘録として、新たに生成AIがもたらす知的生産に関する、自身の試行錯誤を書き連ねて行こうかと考えています。

2025年度のTOAは開催されません


とても久しぶりに本ブログを更新しますが、残念なお知らせがあります。

毎年、日本の公式パートナーとして2017年より日本企業や自治体、大学の方々をお連れして、独自の視察プログラムと共に参加してきたベルリンの人気テック・カンファレンス「TOA」ですが、今年は残念ながらベルリンでの開催は休止することが決定しています。

これまでコロナ禍における4年間の休止を挟んで、2023年、2024年と開催されてただけに残念なお知らせとなります。現在、本国のサイトには告知が掲載されていませんが、私が把握した限り、ベルリン開催は休止となります。

また、何か最新情報がございましたら、告知したいと思います。

ベルリン発・欧州のSXSWと呼ばれるTOAが2023年復活! –その軌跡とベルリン市やSXSW株主ほかによる騒動について–


photo by TOA 2019

アメリカのテキサス州オースティンで開催されるSXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)や、バルセロナのSONNAR、ヘルシンキのSlush、ウィーンのPioneer Festival、そしてベルリンのTOAなどについて、僕は2015年以降より自著や自分が登壇する講演で「ニューカンファレンス」、あるいは「イノベンション」(イノベーションとコンベンションをかけ合わせたマイ造語)として、その潮流と重要性を説いてきた。

その後も多くのエグゼクティブや社員の前で、それが何なのか、また、なぜ日本企業は参加すべきかの講演も行ってきた。

そして、僕は「(特に経営層は)家と職場の往復をしているだけで仕事をしているというのは間違い」「ニューカンファレンスに行って、ビール片手に隣に居合わせた人とまず話してきたほうがいい。そちらのほうが間違いなく生産的だ」と語ってきた。理由を説明するパワポ資料も用意しているが、それについてはいつか発掘して展開するとして、ここでは先に筆をすすめる。

いまや世界は確実にニューカンファレンスを吸収し、ただの展示会からそちらに大きくシフトしている。たとえば、CESは従前のプロダクトお披露目ベースの性格から、ここ近年は企業トップが次代のあるべき姿を自ら表現する場に変化している。また、メルセデスは出展する世界各地のモーターショーを減らし、独自に展開するme.conventionで自らが若々しく、イノベーティブであることをアピールしてきた。まさにニューカンファレンスの魂を宿した立体的なオウンド・メディアである。

旧来の展示会の使命は顧客獲得であり、集めた名刺と商談の数がKPIだ。ニューカンファレンスは、まだ未完成の商品やサービス、ソリューションに協働してくれる企業や個人を探したり、あるいは投資家を見つける目的に使われる。KPIは会社によってまちまちだろう。

それに比べると、展示会はきらびやかなディスプレイやブローシャーを手渡しするコンパニオン(時代遅れだが、まだ多数派)がいて、後者は刺激的なイノベーターたちが世界各地から集められ、熱いピッチを展開する。加えて、バンド演奏やDJによるプレイがあり、昼からアルコールを提供し、くつろいで話せるチルな環境を用意する。そして、そこで出会った者同士の会話を促進したり、サービス/プロダクト開発者や経営者自らが現場で先陣を切って訴えるのも特徴的だ。

無論、世界には両方のやり方があっていい(コンパニオンが必須かどうかは措いておこう)。実はここ数年、まだ製品化されていないアイデアをぶつける場以外にも、イノベーティブな人材や協働者の獲得、市場調査、リブランディング、インターナル・コミュニケーションは、こういった現場にシフトしつつある。

そんな現場のひとつでもあり、「欧州のSXSW」と呼ばれるベルリンの人気テック・カンファレンス「TOA」がコロナ禍の3年に及ぶ休止を経て、今年2023年7月5日-7日に復活することが決定した。首を長くしてお待ちいただいていた皆さんには朗報だ。

photo by TOA 2019

僕自身はTOAの日本公式パートナーとして、これまでもTOAに多くの日本企業や自治体の方々をガイドし、同時に市内の注目すべきスタートアップ・エコシステムや、ベルリンにしかない拠点の数々にお連れしてきた。今年、久しぶりの開催を喜ぶとともに、長いコロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻以降、どのようにベルリンが変わってしまったのか一抹の不安もある。

「暗号の首都(クリプト・キャピタル)」とも呼ばれるベルリンにおいてweb3系のスタートアップも大変だと耳にする。FTXの破綻による暗号資産の時価総額急落が招いた、資金調達の困難さや風評被害も看過できない。さらに2022年以降、ベンチャー企業への投資が世界的に冷え込んでいる。GAFAMを筆頭とする世界的規模のリストラも成長神話の翳りを色濃くしている。

ベルリンの友人によれば、最後のラウンドで高い評価額で資金調達したスタートアップは投資契約を結べずに、突然の操業資金難を逃れるため、合併を余儀なくされていると聞く。とはいえ、まずは現地を訪れて、不安が憂慮でしかないことを確信したい。

突如持ち上がった「SXSW ベルリン版」計画と地元の反目

さて、TOA復活に至るまで、実はベルリンでは水面化で大きな動きがあった。

ベルリンに本社をもつ世界随一のメディア・コングロマリット、アクセル・シュプリンガーとテキサス州オースティンで開催されるSXSWの主要株主であるペンスキー・メディア(『WWD』『ローリングストーン』などの発行社)は、2023年8月23日から26日まで音楽とテックの祭典(SXSWがモデルのベルリン版)の開催を目論んでいたという。

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